梅エキスについて
梅エキスとは、青梅の果汁をゆっくり時間をかけて煮詰め、ペースト状にしたものです。
江戸時代から民間薬として使用され、医学書『諸国古伝秘方』で伝染病や食中毒、消化不良などに効くとしてその製法が紹介されています。
先人の経験や伝承により、人々に愛用されてきた梅エキスですが、近年、科学的な検証により、様々な効果効能が明らかになってきました。
今回は梅エキスの秘めたるパワーについてご紹介したいと思います。
〇風邪予防効果
梅エキスには免疫力を高める効果と、血流を促進させ身体を温める効果があり、風邪の予防に有効とされています。
〇インフルエンザ予防効果
梅エキスには、免疫細胞を活性化させる効果のほか、「エポキシリオニレシノール(梅リグナン)」というインフルエンザウイルスの増殖を抑制する成分が含まれています。
ウイルスが体内に入る前に摂取しておく方がより効果的に予防できるため、日常的に摂取するのが良いようです。
〇抗がん効果
梅エキスには、免疫細胞を活性化させて、がん細胞から身体を守るほか「リオニレシノール(梅リグナン)」という成分にDNAの突然変異を抑制し、細胞のがん化を防ぐ効果があるとされています。
〇抗アレルギー効果
梅エキスには、アレルギーを起こす「ヒスタミン」の放出を抑制する効果があります。
梅干しをよく食べる人ほど、アレルギー症状が少ないという研究結果もあり、花粉症などに副作用のないアレルギー対策として期待できそうです。
〇抗炎症効果
梅に含まれる「ピノレシノール」という成分には抗炎症作用があります。
動物実験で胃潰瘍や大腸炎などの炎症を改善することが判明しています。
〇抗老化効果
梅に含まれる「ピノレシノール」「リオニレシノール」という成分には抗酸化作用があり、細胞の酸化を防いで老化を抑制する効果があります。特に「レオニレシノール」には、メラニン生成に関与するチロシナーゼや、メラニン細胞刺激ホルモンなどの働きを阻害し、シミやソバカスの予防や治療に有効な美白成分である可能性があります。
また、動脈硬化、アルツハイマーなど酸化ストレスが関係しているとされる病気の予防も期待できそうです。
〇虫歯の予防効果
梅エキスに含まれるクエン酸には、虫歯の原因となるミュータンス菌を抑制する効果があります。
また、唾液の分泌を促し、口の中のpHを虫歯ができにくい状態にしてくれる効果もあるようです。
〇歯周病の予防効果
梅エキスが分泌を促進する唾液には、歯周病菌を妨げる効果があります。
また、梅エキスに含まれる「ムメフラール」という成分による血流促進効果により、歯肉の状態が改善し、歯周病の予防につながります。
梅がもつ抗炎症作用も、歯周病の悪化を防ぐ役割をするようです。
〇食中毒の予防効果
梅肉エキスに含まれるクエン酸には強い殺菌力があります。
実験では、大腸菌、病原性大腸菌O-157、サルモネラ菌、チフス菌、赤痢菌、黄色ブドウ球菌、コレラ菌、MRSAなどなんと12種類の菌に対して増殖を抑制する効果が認められたそうです。
〇ヘリコバクターピロリ菌の除菌効果
梅肉エキスには、胃がんや胃潰瘍の原因とされるヘリコバクターピロリ菌を殺菌する効果があります。
実験によると、通常服用量の0.9%濃度以下でも効果が認められたとのことで、抗生物質のように、腸内細菌を減少させないピロリ菌対策として期待されています。
〇下痢、胃腸病への効果
日本最古の医学書『医心方』にも下痢を止めるとの記載がある梅。
東洋医学では慢性的な下痢にも効果があるとされているようです。
唾液の分泌を促して消化を助けるほか、抗炎症作用により胃炎、胃潰瘍、大腸の潰瘍などの改善効果も確認されています。
〇肝機能改善効果
梅エキスには肝臓を保護する効果があるとされています。
また、肝がんや肝硬変などにつながる可能性もある「脂肪肝」を改善させる効果があることがわかってきました。
〇血流改善効果
梅エキスに含まれるクエン酸と「ムメフラール」という成分には血流改善効果が認められています。
〇糖尿病の予防効果
梅エキスは、腸で糖質を吸収する酵素を阻害し、血糖の上昇を抑えるため、糖尿病の抑制効果があるとされています。
〇痛風予防効果
梅エキスに含まれるクエン酸は、尿や体液をアルカリ化し、尿酸値を抑制して痛風や高尿酸血症を予防します。
〇尿結石予防効果
腎臓から尿道までの間に、カルシウムなどの結石が生じてしまうのが尿路結石です。梅エキスに含まれるクエン酸は、尿の中のカルシウム濃度を下げ、結石ができにくい状態にするとされています。
実際に病院などでも結石の治療にクエン酸の摂取をすすめているようです。
〇骨粗しょう症予防効果
梅エキスに含まれるクエン酸はカルシウムの吸収率を高め、血中のカルシウム濃度を保って骨粗しょう症を予防します。
いかがでしょうか。まさに万能薬ですね。しかも医薬品と違い食品なので、副作用もありません。
ただし、酸が強いので、一度に沢山食べると胃の粘膜が荒れてしまい胃痛がしたり、歯が溶けてしまう可能性があります。適量を継続して摂取することをおすすめします。
梅エキスの食べ方(飲み方)は、ティースプーンに1/3ほどのせて、そのまま召し上がってください。
おなかが痛いときや、体調が優れないときには有効的ですが、毎日継続して摂取するには酸っぱすぎて続けづらいという方が多いようです。
そんな方におすすめしたいのがお湯割りです。梅エキスを好きな量のお湯と割って飲むだけ。はちみつや砂糖を加えるとさらに飲みやすくなります。
またヨーグルトや、アイスクリームにトッピングするのもいいかもしれません。
健康食品の元祖とも言える「梅エキス」
梅干しが苦手な方にもおすすめです。
毎日の健康づくりに取り入れてみてはいかがでしょうか。