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梅の病気やキズについて

 
梅は豊作の年もあれば、不作の年もあります。近年、地球環境が大きく変わってきており、温暖化によって野菜等の食物の生育があまり良くないと耳にします。
2024年度の梅は歴史的な大凶作でした。収穫量は平年の3割~4割とも言われています。
加えて、雹(ひょう)害によるスリ傷、カメムシによる虫害などさんざんな結果となりました。
雹(ひょう)害が無くても梅の表皮に斑点が出たりする病害などもあります。
市場に出回る秀品梅はキズひとつないきれいな実ですが、総合的な割合でいうと斑点やキズのある実の方が多いのです。
 
今回は梅の病気やキズなどについてのお話です。
 
 

〇黒星病とかいよう病

 
・黒星病は梅の表面に小さな円形の黒(ススのような)色の斑点を生じるもので、その原因は糸状菌(カビ)です。
発生の要因である菌は、日当たりや風通しが悪い多湿の状態で増殖します。枝の内部で越冬し、雨水により胞子が飛散し、果実に感染します。豊後・紅サシ・南高などの品種に多く発生します。
 
・かいよう病は表皮に赤紫や黒色の水浸し状に凹んだ病斑を生じ、黒星病より目立つものが多いです。
かいよう病の発生原因は細菌によるもので湿地や多肥栽培が要因とされ、強風や雨が多いと発生しやすくなります。
 
黒星病とかいよう病の原因であるカビや細菌は、一度感染すれば枝の中で越冬をし、暖かくなる頃に出てきて雨水などから感染を広めます。
そのため、冬に感染した枝の剪定をし、伝染源を除去することが予防策となります。
また、カビや細菌は湿度が高い場所を好むため、日光や風が通りやすいように園地を整備するのも大切です。
もちろん農薬による消毒は 有効ですが、残留農薬のポジティブリスト制度が始まってからはなるべく使用量を減らす傾向にあり、使用禁止となった薬剤もあり万能ではありません。また、かいよう病に農薬はあまり効果がありません。
農薬使用の是非についてはよく取り沙汰されるところですが、梅に限らず野菜や果物でも消費者があまりに見栄えを気にするために薬品を使わざるを得ないという面があるということを忘れてはいけないでしょう。
カビも細菌も身の回りに沢山います。
人間にとって有害なものもあれば、無害なもの、逆に役立つカビもいます。
ちなみに梅の斑点を作るカビや細菌は、人にとっては無害なものです。
 
 

〇ヤニ果、しこり果

 
表皮ではなく果肉の一部が固くなったり、ゼリー状になったりする状態です。
こちらも食べて害はありませんが、梅干しにしても異物感がありおいしくないので黒星病やかいよう病より問題です。
ヤニ果は樹脂症果と呼ばれ、発生原因として微量要素欠乏などが疑われていますが、原因が確定しておらず、発生原因の解明が待たれます。
しこり果についても確かな原因はわかっていませんが、カメ虫に果汁を吸われた部分が固くなるという事例が確認されています。
 
梅のヤニ果、しこり果は別として、表皮につくキズや斑点は味に影響なく、もちろん食べて害のあるものではありませんので、SDGsの観点からもあまり気にせずご利用いただきたいものです。
2024年度に収穫された梅は、秋以降に梅干しとして出荷され始めます。多少のキズや斑点がある梅干しが出回ることも予想されますのでご了承くださいませ。
自然のなせる業、農産物ゆえの事情としてご理解いただければ幸いです。