梅の天日干しは冬でも大丈夫?
「三日三晩の土用干し」
梅を干す際の常識のように使われる言葉ですが、梅を干すのは夏に限るのでしょうか?
ご自分で梅を漬け、夏場は忙しくて干せず、そのまま漬けた状態の方もいらっしゃいませんか?
今回は梅を干すタイミングについてのお話です。
梅干しを干す最適な時期は、7月下旬~8月上旬にかけてとされています。
梅は年に一度、主に5月下旬から6月下旬にかけて収穫されます。
梅干しの漬け込みは約1〜2ヶ月の時間を要し、小梅は5月末から6月初旬にかけて、通常サイズの梅は、6月初旬~下旬にかけて塩漬けするのが適しています。
塩漬け後、梅は約1ヶ月間その状態で置いておきます。
そして、梅雨が明け、日差しが強くなり湿度が下がる、7月下旬~8月上旬にかけて、本格的な夏が到来する頃が、塩漬けした梅を外に出して乾燥させるのに最適な時期とされています。
この時期に梅を干すことで、梅干し特有の風味が引き出されます。
7月下旬~8月上旬は、年間で最も暑く、日差しが強い時期です。
この季節に梅を干すと、乾燥を効果的に行うことができます。
梅干し作りにおいて、乾燥と日差しが重要な役割を果たしますので、頭の片隅に入れておいてください。
ただし、この時期は湿度が高くなりがちなので、湿度の高い日を避けて干すことが大切です。
湿度が高いと乾燥が遅れるため、雨の予想される日には干さないのが肝要です。
本格的に夏が始まる時期は、太陽の光が強く、風通しも良いため、梅を干すのに最適な時期とされていますが、予期せぬ天候の変動や、梅雨が長引いたり、台風が頻発したりすることによって、梅を干す機会を逃してしまうことも少なくありません。
しかし、梅を干すのに理想的な期間を逃したからといって、過度に心配する必要はありません。それ以外の時期に梅を干しても全く問題ございません。
実際には、真冬のような極端に低温の時期や、梅雨の高湿度の時期を除けば、年間を通していつでも梅を干すことが可能です。
ポイントは、晴れて湿度が低い日が続きそうな時期を見て干すことです。
その上、風があれば、乾燥を促進し、より良い結果が得られます。
ただし、干す日数は季節によって調整が必要です。
よく言われる「三日三晩」は夏だけにあてはまる日数であって、仮に冬場の場合、干し上げに1週間以上かかる場合もあります。
また、夏場の強い日差しで干した梅は色の濃い褐色に仕上がりますが、日差しの弱い季節に干すと、幾分白っぽく仕上がります。この梅干しは、しそ漬けにすると大変きれいに染まりますので、梅業界ではこの梅干しを「冬干(ふゆぼし)」と呼んで、しそ漬け用の梅干しとして保管することもあります。
また、梅を天日干しせずに、そのまま漬けた状態にしておく「梅漬け」に仕上げるのもひとつの選択肢です。
干さないことで、天日干し作業の手間と時間をかけずに、梅のうま味を楽しめるので、忙しい方や手間を省きたい方におすすめの方法です。
梅漬けは梅干しと比べ、フルーティーな香りと、みずみずしく柔らかいジューシーな果肉が味わえます。
ほのかな酸味と塩味を感じることができるのは、梅漬けならではの美味しさといえます。
干さないと長期保存ができないと思われがちですが、梅酢に漬けたままにしておけば、天日干しを行わない梅漬けでも長期保存ができます。
「梅仕事」という言葉が流行っています。「梅仕事」とは、自分で梅干しを作ったり、梅シロップを作ったりして、ご家庭で梅料理を楽しむことです。
梅は日本のソウルフードです。昔から製法が変わらない、日本独特の食文化を後世まで繋いでいきたいですね。
以上、ご家庭で梅干しづくりを楽しんでおられる方のご参考になれば幸いです。